第十二章 星の欠片は遠い海 ニ

6/21
105人が本棚に入れています
本棚に追加
/379ページ
 時生の中で、どうして、その事が重要なのであろう。 「俺とずっと一緒にいると、約束していたのに?」 「ああ、そういう事……だから、夢子さんは………………」  夢子は、時生にも縛りをかけていたのだ。 「約束していたから、夢子さんは自分を殺して、永遠に一緒にいようとした」 「生きて一緒にいないと、意味が無い!!!!!!俺は、共に生きていこうという意味で、約束したのに!」  時生は、夢子が自分との約束を破ったのではなく、殺されて終わったのだと信じていた。 「姉さんの嘘つき!」 「あ……………………」   夢子の画像が消え、端末の画面が真っ暗になっていた。その真っ暗の中に、更に深い闇が渦巻いている感じがする。 「霊は否定されることに弱い」  有働が必死に画面を治しているが、それは壊れたのではなく、正常に作動して、そういう結果になったのだろう。 「夢子さん、出てきてください」
/379ページ

最初のコメントを投稿しよう!