第七章 大切な杏のために

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 ショッピングモールで一番大きな花壇を、二人は訪れた。 「わあ。もうセントポーリアが飾ってある!」 「クリスマス、っぽいな」  どうしよう、欲しいな。  でも、クリスマスが終われば何だか間が抜けるしな、などと迷う杏が可愛い。 「欲しいと思った時が、手に入れ時だぞ。後悔するより、行動するんだ」 「いいんですか?」 「セントポーリアだって、好きでクリスマスの象徴になってるわけじゃない」  真の言葉に、杏は目が覚めた思いだ。  確かに、こちらが勝手にクリスマスに向けて飾るだけで、セントポーリアの都合は考えたことがなかった。 「そうですね。クリスマス過ぎても、綺麗なものは綺麗ですよね」 「その調子で、決めて行こう」  セントポーリアに、シクラメン。  ドラセナに、アンスリウムに、モンステラ。 「コニファーに、クリスマスの飾りつけをしてもいいですか?」 「期待してるよ」  ずいぶんたくさん選んだが、真は値段も確認せずにOKを出している。  支払いは、涼しい顔をしてカードで済ませている。 「真さん、ごめんなさい。僕、買いすぎませんでしたか?」 「そういう時は、ありがとう、と言うんだ」  私も楽しかったよ、と笑顔の真だ。 「デートでグリーンをショッピングするなんて、初めてだ」  やはり杏は、普通の子とは違う。  そんな思いを、新たにした。
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