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「今日ご紹介します商品はこちら!」
画面の中では、背広姿の若い男が仰々しく手を広げて、横に置かれた四角い物体を指し示していた。
サイズは2メートルくらい。人ひとり入るにはぴったりの大きさだ。
「まあ! これは何ですの?」
アシスタントらしき女性のわざとらしい発言と同時に、問題の商品がアップで映される。続いて、再び男の言葉が入った。
「名付けて『イベント前夜くん』! 新しく売り出された、画期的なタイムマシンです!」
実際に買う予定はないが、ただ見ているだけでも、こうした番組は面白い。
いわゆるテレビショッピングというやつだが、もちろん私はWEBのチャンネルで視聴していた。21世紀や22世紀ではあるまいし、今時テレビなんてどこにも売っていないのだから。
それでも呼び名だけは『テレビショッピング』として残っているのだから、考えてみれば不思議なものだ。
そういえば、WEB番組の視聴中にザッピングすることを『チャンネルを回す』と呼ぶが、あれはテレビ――特に初期のタイプ――にダイヤル式のチャンネル切り替えボタンがついていたかららしい。
いつかタイムマシンで過去へ行く機会があったら、私も直に『テレビ』というものを見てみたいと思う。
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