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クリスマスイブ
12月24日、クリスマス前夜ともなると子供たちはワクワクするものだ。サンタクロースがプレゼントを持ってやってくるから。
けれど、ボクはちっとも嬉しくなかった。だって父は仕事で毎年母と二人きりだったからだ。何度か「お仕事行かないでっ。一緒にいてよー。」と涙目でお願いしたこともあったけれど父は
「ごめんなぁ、陽太。父ちゃんは大事なお仕事があるんだ。帰ったら一緒にケーキ食べようなぁ。」と言って頭を撫でるだけだった。
父ちゃんが出かけた後、母ちゃんに聞いたことがある。
「父ちゃんはそんなにお仕事が大事なの?母ちゃんはさみしくないの?」
すると母ちゃんは優しく笑って
「いつか陽太にも分かる日がくるよ。」と言っていたけど、その頃のボクにはさっぱり分からなかった。
──どうして父はそんなに仕事が大事で、どうしてボクの家にはイブの夜にサンタクロースは来てくれないのか……?
ずっとそんな事を考えていた。
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