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父の仕事
ある年のイブの夜、出かける父の後をこっそり追いかけた事があった。急ぎ足で歩く父に必死で付いて行った結果、気付けば見知らぬ場所にいた。
「ここはいったいどこなんだ?」
すると突然、物凄い勢いで車のヘッドライトの様な眩しい光が近づいて来て一瞬何も見えなくなった。
ボクは父が車にぶつかると思い、思わず「父ちゃん危ない!!」と叫んでしまった。
けれど目の前に父の姿はなく……
──目の前にいたのは、頭に立派な角が生えた大きな鹿の様な生き物だった。
「えっ?もしかしてトナカイ!?」
「そぅ!大正解じゃ。」
頭の方から父ちゃんの声がして見上げると白い髭が見えた。どうやらボクはその白ヒゲのおじさんの膝の上に座っているようだ。
「あれれ?確か父ちゃんの声が聞こえたんだけど……?」
ボクはトナカイが引っぱるソリに乗っていて、そしてそれは空を飛んでいる……。
ボクを膝の上に乗せ後ろに座っている赤い服を着た白ヒゲのおじさん……。
「本物のサンタとトナカイだ!!」
ということは、
「父ちゃんはサンタクロースなの!?」
だけど白ヒゲのおじさんは何も答えずボクの頭を撫でるだけだった。
──朝、目覚めると僕はベッドの中にいた。 しばらくして玄関の方から
「ただいまー。」と言う父ちゃんの声が聞こえた。
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