トナカイとサンタ

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トナカイとサンタ

 押し入れの整理をしていたら小学生の頃に書いた作文が出てきた。 お題は『クリスマスイブの思い出』……  “ボクはクリスマスイブが大キライです。なぜなら、父ちゃんが仕事でいないからです。毎年、母ちゃんと二人きりです。そしてサンタクロースもその夜はボクの(うち)にやって来ないからです。  だからボクはクリスマスイブもサンタクロースも父ちゃんも大キライです。 2年3組 糸中陽太” ──僕の名前は糸中陽太(いとなかさんた)。 子供の頃クリスマスが近くなると、よく名前でからかわれたものだ。  「やーい、トナカイ、サンタぁ!」 「サンタさん早くプレゼントくださいよぉ!」ってね。  なぜなのか?お気づきの方もいるかも知れませんが念のためご説明させていただくと……  陽太(さんた)はそのまま“サンタ”です。で、糸中(いとなか)はまず“イトナカ”と変換します。これを五回繰り返して言ってみてください。  「イトナカ、イトナカ、イトナカイ、トナカイ……ト……ナカイ」ハイ!そうです。になります笑。  子供の発想力ってスゴイですね。これがの由来です。両親も何でこんなからかわれるであろう名前を付けたのか?子供のボクはかなり迷惑だった。  そして、クリスマスイブの夜に家に居ない父に対して、家族よりも仕事を優先することが腹立たしかった。
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