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「エレノア。……その」
「……はい」
「俺も、エレノアと一緒にいれたら、幸せだ」
そのお言葉は、照れ屋なカーティス様が勇気を振り絞っておっしゃった言葉だったのだろう。
それを悟りつつ、私はくすっと声を上げて笑う。
「……ライラ様に、正式に婚約することになったと挨拶しなくてはなりませんね」
「……あぁ」
「祝福、してくださるでしょうか?」
私が変わるきっかけとなったライラ様のお言葉。彼女は、今の私ならば認めてくれる……ような気がするけれど、やっぱり不安だった。
私のその気持ちを悟ってくださったのだろう。カーティス様は「認めてくれる」と静かに声をかけてくださる。
「というか、なんだかんだ言いつつもエレノアのことを気に入っていたんだぞ」
「……え?」
「あの人は、結構不器用だから。それに、気に入っていなかったら俺とデートして来いなんて言うわけがない」
……そりゃそうか。
心の中で納得して、私はカーティス様の肩に頭を預ける。
そうしていれば、女性が戻ってきた。彼女は私とカーティス様の態度を見て「あらあらまぁまぁ!」と声を上げていた。
「本当に仲睦まじいことですわね! ぜひ、結婚式の宝石の類も私めにお任せくださいませ!」
「あぁ、ぜひそうする」
淡々と女性に言葉を返されるカーティス様だけれど、その頬はやっぱり微かに赤い。
(本当に、格好のつかない人ね)
そう思ったけれど、私が惚れたのは――このお方なのだ。
そんな風に思って、私は彼の手をぎゅっと握った。私よりもずっと大きな手は、私の手を包み込んでくださった。
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