第46話 婚約指輪(2)

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「エレノア。……その」 「……はい」 「俺も、エレノアと一緒にいれたら、幸せだ」  そのお言葉は、照れ屋なカーティス様が勇気を振り絞っておっしゃった言葉だったのだろう。  それを悟りつつ、私はくすっと声を上げて笑う。 「……ライラ様に、正式に婚約することになったと挨拶しなくてはなりませんね」 「……あぁ」 「祝福、してくださるでしょうか?」  私が変わるきっかけとなったライラ様のお言葉。彼女は、今の私ならば認めてくれる……ような気がするけれど、やっぱり不安だった。  私のその気持ちを悟ってくださったのだろう。カーティス様は「認めてくれる」と静かに声をかけてくださる。 「というか、なんだかんだ言いつつもエレノアのことを気に入っていたんだぞ」 「……え?」 「あの人は、結構不器用だから。それに、気に入っていなかったら俺とデートして来いなんて言うわけがない」  ……そりゃそうか。  心の中で納得して、私はカーティス様の肩に頭を預ける。  そうしていれば、女性が戻ってきた。彼女は私とカーティス様の態度を見て「あらあらまぁまぁ!」と声を上げていた。 「本当に仲睦まじいことですわね! ぜひ、結婚式の宝石の類も私めにお任せくださいませ!」 「あぁ、ぜひそうする」  淡々と女性に言葉を返されるカーティス様だけれど、その頬はやっぱり微かに赤い。 (本当に、格好のつかない人ね)  そう思ったけれど、私が惚れたのは――このお方なのだ。  そんな風に思って、私は彼の手をぎゅっと握った。私よりもずっと大きな手は、私の手を包み込んでくださった。
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