星を探して

つまり、俺はガモント(有性親)じ
ゃなくて、アガモント(無性親)の
子ってわけだ。

だから俺にとって人間関係は簡単
(シンプル)だ。
自分以外は全て他人なんだから。
風すきのいいこと この上ないね。
周囲(まわり) に血の絡がりのある
人物がいない。

でも、家族もあるし、仲間もいる。
街が庭みたいなもんだ。

学校は俺のセクシャル・ライツ(性
に関する権利)を理解してくれなか
った。

俺のセクシャリティは「嗜癖(し
へき)」と「性癖(せいへき)」で片
づけられた。

どちらも病的傾向ってやつ。

俺は健康もいいとこで、元気溌剌
(はつらつ)なのにさ。

──笑える。笑劇(ファルス)
──男根(ファロス)

仕方がないから(？)
俺はＳＥＸを〈趣味〉にしたんだ。

別にファロセントリスム(男根中心
主義)にかぶれたわけじゃない。

ジャック・デリダもジャック・ラ
カンも識(し)らない。

この世に、自分独りしか居なかっ
たら、人は自分が自分だって分か
らないだろうと思うんだけど、た
だ 一つの性を、示唆だの差異だの
遅延だの迂回だのに頼らず発動で
きたっていうのは、ロード(荷重)
が軽かったからだと思う。

たぶん、俺のは軽くて多いんだよ。

シリウスＢの質量は太陽の１.０２
倍だが、密度は水の４０万倍。

──そうなると俺のように
「No.Sex No.Life」って軽々しく
趣味だとも言ってらんないんだろ
う。