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第24話
「う、ん……」
目が覚めると、外は既に太陽が昇っていた。いつもより遅く起きちゃったわね。
なんか変な夢を見ていた気がするけど、起きたら忘れちゃった。夢なんてそんなものだと思うけど、とてつもなく不快な夢だったような気がしなくもない。
どんな夢だったっけ。駄目だわ、全然思い出せない。
「……うーん」
思い出せないとモヤモヤする。
お湯を沸かして、着替えを済まし、白湯を飲みながらどんな夢だったか思い出そうとするけど一ミリも出てこない。
「うーん。気になるー」
庭の畑に水を撒いてる間も夢のことが気になって仕方ない。
何でこんなに気になっちゃうんだろ。それほど重要なことがあったのかしら。
いや、確かに重要な内容だったかもしれない。普通の夢じゃなかった、はず。
「がう!」
「ノヴァ、おはよう。シャルの方はどう?」
「がうがう」
「そう。何もなかったのね、良かったわ」
「がう?」
「うん? 私、なんか変?」
ノヴァが心配そうな顔をしてる。
私、顔に出てたのかしら。
「実は変な夢を見ちゃってね。でも起きたら内容を忘れてて、全く思い出せないのよ」
「がう」
「大丈夫よ。ゆっくり休めたおかげで体は元気だから。ありがとね、ノヴァ」
「がう!」
頭を撫でてやると、嬉しそうに手にスリスリとしてきた。
体は大きくなったけど、こういうところは昔と変わらないのよね。
「レベッカに笛も渡してあるし、シャルにはノヴァの分身が付いててくれているし、今日はゆっくりしようかしら」
「がう」
ノヴァが深く頷いた。
誕生パーティー以降、ずっとシャルの様子を見に行ったりして魔力を使い続けていたし、シャルのピンチを助けたりして体力も消耗していたものね。たまにはゆっくりしないと。
オーバーワークは前世で死ぬほどやったんだから、もう少し自分の体を労ることをしないと駄目よね。
「それにしても、何の夢だったかしら……」
やっぱり気になる。
何かこう、ずっと歯の間になにか詰まってる時みたいな、喉に刺さった小骨みたいな。とにかく気になって仕方ない。
「ノヴァ、貴方は人の夢を見れる力とかないの?」
「がうう」
「そうよね、そんな都合の良い力なんてないわね」
「がうがう、がうう」
「え、見ることは出来ないけど夢なら消せる? 聖獣って凄いわね。でも、どうやって?」
「がう、がう!」
「私が見たのは夢じゃなくて幻術? それに、私に知らない魔力の気配がしてるっていうの? もしかして、私に夢を見せてきた奴のものかしら。でも、どうやって……この山にいて、貴方に気付かれないように私に魔力を飛ばしてきたって言うの?」
例の王宮魔術師の仕業だとすれば、予想以上の力の持ち主ってことになるわね。
これは中々に手強い相手かもしれないわ。
「ノヴァ、その魔力を燃やして」
「がう!」
ノヴァが炎を吐き、私の体を燃やす。
目視は出来ないから断言しないけど、何となく体から何かが消えた気がする。
「ありがとう。頭がスッキリした気がするわ」
「がう!」
「にしても、幻術か。相手の力は相手の心に付け入るものかしらね。それでレベッカのことも惑わしたのかも」
「がうがう」
「ええ。今のところ接点があるのはレベッカだけだもんね。明日またレベッカのところに行きましょうか」
今のでノヴァが相手の魔力を覚えた。少しでも魔力の臭いが残っていればノヴァが追える。
正直、これほどの力を持っている術者が足跡を残してるとは思えないけど。
「とりあえず、お茶にしましょうか。ノヴァ、レベッカが焼いてくれたブラウニー食べる?」
「がう!」
「よしよし。今日は外でティータイムよ」
今日はしっかりと英気を養って、明日からまた頑張りましょう。
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