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第57話
レベッカを家まで送り届け、私も自宅へと戻った。
今回は移動も含めてちょっとハードだったけど、みんな無事でよかった。
「はぁー、おつかれぇ」
「がうがう」
「うん。今回はノヴァに助けられたわ。ああ、またお礼する?」
「がう」
「いらないの? ああ、そっか。私の血を飲んだから……」
「がう、がうがう」
「やっぱり血って魔力の塊なのね。あれだけで過剰摂取になるなんて」
お腹いっぱいで暫く魔力補給いらないって首を振るノヴァの顔は、なんか昔二日酔いでフラフラになった時の私に似てる。あの時はヤケ酒して、アホほど飲んだのよね。もうお酒いらないって思うくらい。
「とりあえず、私はするべきことは記憶の整理ね。それからまたシャルのところに行って、様子を窺いながらあの子に近付いてくる人をチェックしないと」
「がう?」
「だって他の王子様が現れたら、ロッシュじゃなくて別のルートに進むかもしれないし、そうなると魔術師の方の動きも変わってくるはず」
「がう」
「そりゃあ私の読み通りの動きをするとは限らないけど、何かしらの対策は出来るでしょ。協力者も増えたことですし」
明日、テストがてらツヴェルに連絡取っておこうかしら。周囲に気付かれないように、最初は一瞬だけ繋げてノイズ音だけで知らせてくださいって言ってたわね。さすがに王子様が他に人がいるところで女の無線で会話していたら怪しまれちゃうからね。会話もなるべく聞かれたくはないし。
「そういえば、なんでノヴァは人の姿になるの嫌なの? カッコいいのに」
「がう!」
「え、服が嫌? そっか、獣って人間視点で言えばいつも裸だもんね」
「がうがう」
「そりゃあ人間は服着ないと、犯罪というか……モラルよね。獣には理解できないんだろうけど」
「がう」
「無理無理。私は服着るの大好きですから。お風呂以外で裸になんかなりたくないわ」
動きづらいから脱げばいいとか、獣の発想よね。そんなことしたらただの痴女じゃない。ベルが悪役令嬢で裸族とかだったら最悪よ。君100がR指定になっちゃうじゃない。バッドエンドの内容は年齢制限があってもいいくらいトラウマ級だったけど。
「とにかく、今回はノヴァに救われたわ。本当にありがとう。明日の朝は貴方用に大きなパンを焼いてあげる」
「がう!」
「はいはい、お肉もね。この前作ったベーコンがまだ残っていたはずね」
「がうがう」
「ジャム? あ、この間レベッカにあげたのが最後だったかも。また作っておかなきゃ」
「がう!」
「分かったって。明日作るから! 明日はノヴァの好きなもの沢山作るわよ」
「がう」
納得したのか、フンっと鼻息を吹いてノヴァはベッドに横たわった。
あら。今日も家で寝るのね。ベッドが気に入ったのかしら。私的にはノヴァの毛はふわふわしているから一緒に寝るのは全然いいんだけどね。むしろ快適だし。
「おやすみなさい、ノヴァ」
「がう……」
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