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――キーンコーンカーンコーン。
1時間目が始まったらしい。
「何で死んだの?」
「……喰われたらしい」
「喰われたって?」
「鬼、だよ」
「鬼ねぇ。最近多いねぇー」
「絶対に許せねぇ。今日、おはぎ作ったからくれるって言ってたんだ。楽しそうに」
「食い意地?」
「ちげーよ!」
遊李は、雅に噛み付いた。
「おばちゃん、毎日、楽しそうで。後ろめたさなんて何一つ無いような人だったんだ。罪のない人を喰うなんて、許せねぇよ!」
そうだねぇ、と雅は呟き、はて、と続けた。
「君は、その話をするだけのためにこの時間に来たの?」
雅はシビアだ。自分の興味があることにしか、話に乗ってこないし、それ以外には手厳しい。
「違う。オレは、その鬼をぶっ殺す。雅にも協力してほしいんだ」
「どうして?」
「……は?」
「ボクが協力しなきゃならない理由が理解らない。理由は?」
「人助け」
「パス。人を助けて、何の得があるの?」
「……もういい。オレ一人で探してやる」
乱暴に鞄を引っ掴んで、遊李は出て行った。
危ないのにねぇ、誰も聞いていない一言。
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