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私は明日、処刑される。楽しみにしていた二十歳の誕生日会を迎える前に。
巫女である私が死ぬことで国は大きく変わるだろう。神にすがり生きる国から、人のために有る国へ。
ただ、そんなことには興味がない。どうせ私は死ぬのだから。この国がどう変わろうが関係ない。ただひとつだけ気がかりなことがある。ヴィルとアペルトのことだ。
不器用だが生真面目で努力家なヴィル。運動神経がずば抜けて良く、誰よりも早く剣を扱いを覚えたが気分屋のアペルト。あまりにも正反対なものだから喧嘩はしょっちゅうだった。
その中でも五年前のあの喧嘩だけは何があっても忘れられない。まだ無知で、毎日が幸福だったあの頃を思い出す。
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