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レオは火事の後、初めて南公園に出かけた。隣にはいつものように少年ぽい格好のナオがいる。ナオは相変わらずレオの周りを飛び跳ねながら歩いていて、レオは歩きにくいと何度か苦情を出したがナオには響かなかった。
ロケットビルは足場が組まれ、工事が行われていた。
レオはビルを見上げ、ぶるっと体を震わせた。
「建て直すのかな」
レオが言うと、ナオも横でビルを見上げた。
「そうみたいっす。でもケーキ屋はまた入るらしいっすよ。再開したら行きましょーよ」
「女の格好で?」
「あれはもう止めます。結局、レオさんに裏切られたし」
「あれは、おまえのことを考えてだろ。だから今日はお詫びに付き合うって言ってんだろうが」
「じゃぁほら、あのチュロス行きましょ。レオさんが小便チビリそうになったっていうトコ。楽しみだなー」
ナオが言い、レオは苦い記憶に顔を歪めた。
「レオさん、俺、高校生になったんすよ。祝ってくださいよ」
ナオが言い、レオは「え?」と驚いた。
「一緒に卒業しましょ。俺の成績にはかなわないと思うんで、成績比べはしませんけど」
「何だと?」
ケラケラとナオが笑いながら先を行く。
レオはロケットビルをもう一度ちらりと見て、それからナオを追った。
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