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拙い。非常に気まずい空気が流れている。何とか話題を転換しないと。そこでふと、花音は朝に話題になっていたアニメを思い出す。
「でも、今って妖怪ブームでしょ。妖怪って受け入れられているんじゃないの?」
頑張って笑顔を作ってそう訊くと、マメもクロも盛大な溜め息だった。どうやら話題として不適切だったらしい。でも、何でだろう。
「それもまた、困っているところです」
「え?」
困るって、どうして。受け入れられているってことじゃないのか。
「考えてみろよ。想像上のものだと思っていた妖怪が実はお隣さんでした。それってよき隣人だと思えるか?」
「ええっと」
花音はクロの問いに困ってしまう。だって今、その妖怪猫を抱っこし、あまつさえ飼おうとしているんですけど。
「気味悪がるのが最初の反応。次、邪険にする。ここまではまあ、いい方だ。しかし、人間ってのは厄介な生き物でさ。次は排除しようとする」
「そんなことは」
「ないって言えるか。だったらなんで、人間社会ってイジメがあるんだ」
「うっ」
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