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でも、やっぱり寂しかった。静かな空間で、何もない場所で一人でいなければならないことが。そんなしゅんとするマメに、役小角はどうしたものかと思案しているようだったが、それは俯くマメには見えていなかった。ただ、役小角もまたマメと距離を取らざるをえなかったのだ。
「もうすぐ妖怪が来る。マメ、ここで働きなさい。いいね。それが己のためになるから」
「解っています」
マメが頷くと役小角は頷いて消えてしまうのだ。それがやっぱり寂しい。覚えていないけど、つい最近はまでは賑やかな場所にいたはずなのに。どうしてこんなに寂しくなってしまったのだろう。解らなかった。
「解らないことばっかりだ」
マメは膝を抱えて座るとそこに顔を埋める。
あれからしばらくして、世の中は戦争で大騒ぎになり追い出された妖怪たちが来るようになって、マメは忙しくなった。役小角の言う通り、ここは賑やかになった。でも、マメは寂しいままだった。
「ちっ、半妖が」
「ここにいるのも苦々しいのに」
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