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「少なくとも俺はそうだな。というか、昔あいつが暴走したなんてこと、最近あそこにやって来た連中は知らねえよ。ただずっと、前からいる奴らが蔑んでいるから、そのまま、あいつは奴隷だってみんな当たり前に思っているだけ」
「そう。それが問題よね。そこを詳しく僧正坊さんから聞かないと」
曖昧にしたままでは進めない問題だ。しかし、事態が激しく動いているため、人間界で大暴れしている妖怪を何とかすることも考えなければならない。
「ああもう」
花音が頭を掻きむしると、コンコンっと窓ガラスを叩く音がした。一体何だと顔を上げると、カラスが窓の外にいる。
「えっ」
「僧正坊から伝言です」
花音が気づいたと知ると、カラスが喋った。
ああもう、どんどん非日常のウエイトが大きくなっていく。そりゃあアオハルを期待し、波乱万丈の高校生活を夢見たけど、こういうことじゃないとツッコミたくなってくる。
しかし、そんなことを言っても何も解決しないので、花音は諦めて立ち上がると窓を開け、カラスを部屋の中に招き入れた。黒猫にカラス。ここは一体何なんだと自分で聞きたくなる部屋だ。
「ええっと、あなたは」
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