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僕はいつも一人だ。
それは定められた運命だからと、多くの人は言う。
だって、弱い妖怪と、ただの人の男から生み出された中途半端な存在だから。
そんな僕の首には人には見えない首輪が付けられている。
中途半端な存在が、人間にも妖怪にも交わらないように、それは僕を強く監視し縛り付けている。
そんな僕が住むのは人間世界の片隅。
人間に居場所を追われ、もしくは人間に傷つけられた妖怪のお世話をするのが僕の役目だ。
それは唯一必要とされる場所だった。
たとえ助けた妖怪たちが蔑んだ目を向けてこようと、ここは一人の僕が生きる権利を得た場所だった。
あの日、奇妙な少女が迷い込んで来るまでは――
「高校生って、もっと楽しいものだと思っていたのになあ」
春のうららかなある日。高校生にありがちの台詞を宣うのは、宮野花音だった。高校一年生、辛い受験を終えてようやく高校生ライフを満喫と思っていたのだが、なんか違う。ありていに言えば、普通過ぎる。
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