トカゲ宇宙人を誰が監視する?

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トカゲ宇宙人を誰が監視する?

トカゲ宇宙人たちを、どうするか。トーマスの目下の悩みは、それである。 (殺して済むなら殺すのは簡単なんだけど) トカゲ宇宙人を対象にして雷を脳天へ落とししたら簡単に死ぬはずで、いくら硬そうな身体でも雷が脳天を直撃したら死ぬだろうと思っているトーマス。 (即死しないとしても、かなりのダメージは負うはずだよな。弱ったところをケーンさんに斬りまくってもらっても簡単だし。しかしだ、人間を襲おうとしたら雷脳天落としにするとして、その現場を僕が見てないと駄目なんだよな) 1000体のトカゲ宇宙人を常に監視するのは不可能だよな。と、トーマスはまた悩む。 「トーマス、悩んでる?」 「ミール、聞いてくれる?」 「うん」 1000体のトカゲ宇宙人を常に監視して、人間を襲って食べようとしたら雷を脳天に落としたいけど、常に僕が監視するのは不可能だよね。と言うことをミールに相談したトーマス。 「監視ロボットでマンツーマン体制」 「トカゲ宇宙人1体に、監視ロボットを1台つけるの?」 「10台くらい?」 「まあ、多いほうが安心だね」 「うん」 「そして、トカゲ宇宙人が違反をしたら?」 「違反トカゲには自動で雷が死ぬまで落ちる」 「自動プログラムにするんだね」 「そう、AI」 「それなら、僕の力で何とかなりそうだよ」 「トカゲの黒焼きがたくさん出来そう」 「まあ、そうかもね」 トカゲの黒焼き死体がゴロゴロしている風景を想像したトーマスだった。 ・・・・・ 「……ミール、これが監視ロボットのプロトタイプ?」 「そう。格好いい」 「トーマス様、格好いいですね」 「……まあ、そうだね。それにしても、こんなロボットの錬成陣をよく1時間で書けたね」 「前からだいたい作ってた。少し仕様変更した」 「なるほど」 トカゲ宇宙人を監視する目的のロボットの錬成陣をミールから渡されて、その錬成陣をカームの錬金術で構築したら、現れたのは全長10メートルのロボットだった。しかも、かなり格好いい。 (錬成する対価がダイヤモンド1000億円ぶんだったから、どんなロボットができるのかと思ったけど。これ、僕が雷を落とさなくても、このロボットがトカゲ宇宙人を殺せるよな) 「ミール、このロボットは補給無しで何年間、動くの?」 「3年間」 「なるほど。隕石落下までは無補給で動くんだね」 「そう。超低燃費仕様」 「これを、1万台造るの?」 「そう」 「トカゲ宇宙人1体に、このロボットを10台はオーバーすぎない?」 「大は小を兼ねる」 「まあ、そうだけど」 「どうせ、この世界は3年後にほとんど終わり」 「1000億エーンのロボットを1万台で1000兆エーンか。30億人から1人33万エーンくらいだね」 「そう」 「1年間なら1人11万エーン。安全保障代としたら安いもんだよね」 「うん」 「でも、錬金術で構築するのが大変だから3000台にしない?」 「良いけど」 「なら、行動プログラムを追加したロボットの錬成陣を3000枚コピーだね」 「分かった」 トカゲ宇宙人が違反行動をしたら、ロボットが自動でトカゲ宇宙人を殺すプログラムを作成したトーマス。そのプログラムをロボット用の錬成陣に追記して、ミールはそのロボット用錬成陣を3000枚コピーしてくれた。 「カーム」 「はい」 「山に行ってロボット3000台を構築だね」 「頑張ります」 「1台5秒としても15000秒だから4時間と少しだね」 「……頑張ります」 「10分ごとに3分くらい休んで良いからね」 「ありがとうございます、トーマス様」 「本当にカームがいてくれて、助かるよ」 「その言葉を聞けるだけで幸せです」 「じゃあ、行こうか」 「はい」 電気自動車で山へ向かうトーマスとカーム。護衛としてケーンとガード、エリーンも同行してもらった。錬金術を行使中に野生動物やトカゲ宇宙人に襲われると大変だから。 山へ到着したトーマス。少し遠くからトカゲ宇宙人たちを観察した。トカゲ宇宙人たちの数はかなり増えていて、建物の中に入れない個体は野営をしているようだ。 山の中で野生動物を捕まえているのか、何かの肉を食べている。 (人間の肉じゃないよな?) 「カーム、ロボット構築をしようか」 「はい」 「栄養滋養強壮ポーション、飲んどく?」 「4時間、休みなくですか?」 「早く終わらせれるから」 「1台3秒で構築します」 「3時間で終わるね」 「はい」 「僕も飲んどくよ」 「トーマス様、頑張りましょう」 「うん」 「あ、エリーンも手伝って」 「え?」 「この錬成陣をポケットに入れて、10メートルおきに並べてほしいんだ」 「分かった。私も栄誉滋養強壮ドリンクを飲むのだ」 「うん。ケーンさんとガードさんも飲んでください」 「そうだな」 「分かった」 山の中腹に広い平地を構築した。地面に錬成陣を置くエリーン。その錬成陣を触るカーム。カームに対価のダイアモンドを渡すトーマス。 その流れるような連携作業で次々と構築されていく全長10メートルのロボット。 構築されたロボットは自動で順番に間を詰めて並んでいく。 2時間後、ロボット3000体が完成した。 「カーム、お疲れ様」 「いえ、皆さんのおかげです」 「そうだね。エリーン、ケーンさん、ガードさんもお疲れ様でした」 「疲れてないよ」 「俺は護衛してただけだぞ」 「俺もだ」 「護衛してもらってたお陰で、ロボット構築に集中できましたから」 「まあ、全員が協力しないとな」 「そうだな」 「そうですね」 ロボットには行動プログラムをインストール済なので、もうトーマスは何もしなくても、ロボットは自動でトカゲ宇宙人を監視してくれる。 (さてと。トカゲ宇宙人に「人間を食べたり襲ったり、このロボットを破壊しようとしたり、このロボットの警告を無視したら、このロボットが殺しますからね」と最終警告に行きますか)
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