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そして4年後
地球の日本から異世界転生したトーマス。その惑星に巨大隕石が衝突するまで3年となった。
トーマスは21歳になって神としての能力が100%使えるようになっている。神と言っても全世界で最下位レベルの平凡な神なのだが。
ダンジョン1階層に構築したマンションで今日ものんびりと過ごすトーマスと仲間たち。嫁たちの3人は妊娠をしなかった。やる事はやっていて避妊もしてないのに誰も妊娠しないのだ。
(1000年前の伝説の現人神も子供はいなかったらしいから、現人神はこの惑星の人類とは子孫を残せないのかもな)
トーマスは「何がなんでも子供が欲しい!」とは思ってないので、「まあ、できないものは仕方ないよね」なのだ。
嫁のミールは子供を産んでも世話なんかしないだろうし、エリーンはエリーン自身が子供みたいな感じだ。エルフは「できないものは仕方ないよね」と言ってる。
新王都計画は中止になり、王都の人々も「王都壊滅は嘘じゃね?」みたいな感じで王都から出ていく人はそんないなかった。
「ミール、隕石は変わりない?」
「この惑星にストライク」
「ボールにならないかな」
「ど真ん中ストレート」
「ど真ん中は困るね」
「ホームランコース」
「まあ、地球でも10億年に1回は巨大隕石が落ちてるらしいけど」
「10億年に1回の奇跡」
「よりによって今じゃ無くてもね」
「トーマスがいるからとも」
「僕の存在が巨大隕石を引き寄せた?」
「そうかも」
「いや、まさか」
「強くて大きな存在は引力も強い」
「僕は強くも大きくもないけどね」
「見た目じゃなくて、存在の問題」
「ミールの言うことは難しいよ」
「トーマスは分かってる。はず」
「いや、本当に」
「この話は終わり」
「あ、うん」
(ミールの言うとおり、僕の存在が巨大隕石を引き寄せたのか?)少し考えてしまうトーマスだった。
「トーマス」
「ん?」
エリーンが声をかけてきた。エリーンの身長を160センチにしようかと思っていたトーマスだが、よくよく考えて140センチで止めた。やはりエリーンは小さいほうが可愛いとトーマスは思ったのだ。
(やっぱりエリーンは小さくて可愛いよな。小さくないエリーンはエリーンじゃないよ)
「これ、今日の100エーン銅貨」
「ありがとう。何枚?」
「200枚」
「ケーンさん、今日も斬ってるね」
「うん。斬れっ斬れだよ」
ダンジョン1階層には犬や猫みたいなモンスターが出るのだ。ワンコロとニャンコと呼ばれていて、それを倒すと100エーン銅貨に変化する。エリーンはそれを拾ってトーマスに届けてくれるのだ。
ワンコロとニャンコが変化した100エーン銅貨は、ダンジョン弁当用の錬成陣専用触媒に利用できるので、トーマスは100エーン銅貨1枚に付き200エーンでエリーンから買い取っている。
「はい、1万エーン銀貨4枚ね」
「ありがとう」
「ワンコ貯金はいくらになった?」
「5000万エーンくらい」
「貯まったね」
「うん」
「でも、3年後に隕石衝突で王都の店は消えるから、それまでに使ったほうが良いよ」
「うん」
巨大隕石がトーマスの住む惑星に衝突したら、ほとんどの陸上生物が絶滅すると言われている。言っているのは嫁のミールだが。
(たぶん、巨大隕石はこの王都近くに落ちるんだろうな)と、トーマスは思っている。
「トーマス、ただいま」
「おかえり」
ケーンとガードの嫁たちと買い物やお茶に行っていたエルフが帰ってきた。
「今日は何を食べてきたの?」
「新しくオープンしたケーキ屋さん」
「どうだった?」
「普通に美味しかったよ」
「1つ1万エーンくらい?」
「そんな感じ」
「やっぱり、普通に美味しいケーキは1万エーンはするよね」
「そうだね」
「その服、似合ってるね」
「ありがとう。これ、いくらだと思う?」
「1000万エーンくらい?」
「惜しい。3000万エーン」
「中々の値段だね」
「王都で1番高級な洋服店だからね。これでも安いほうなんだよ」
「ふーん」
(どうして3000万エーンもするのか分からないけど。普通の服にしか見えないや)
2階の食堂へ行くとカームたちがカームの息子のカールたちと遊んでいた。カームはお父さんになったのだ。
「あ、トーマス様。すみません、うるさいですかね?」
「いや、別に。子供は騒ぐのが仕事だしね」
「まあ、確かに」
ケーンの娘、ガードの息子、アリスの娘、その3人と騒がしく遊ぶカール。
新銀金コンビのシンさん、ギンさん、キンさんは、そんな子供たちの世話をしている。
「シンおじいちゃん、お酒を飲ましたら駄目ですよ」
「おい、トーマス。誰が爺さんだ」
「シンさん」
「いくら俺でも3歳児に酒は飲まさんぞ」
「いや、そこは遊び人のシンさんなので」
「トーマス、心配するな。俺が見張っている」
「まあ、大公殿下がいれば安心ですか」
「トーマスくん、僕もいるからね」
「いえ、ギンさんは子供しか見てませんよね」
「うん。可愛いからね」
「大公殿下、頼みますね」
「任せておけ」
「でも、大公としての仕事は良いんですか?」
「そんなもん、大公代理にやらせている」
「それで良いんですか?」
「どうせ3年後には滅ぶ大公領だ」
「まあ、そうですけど」
「しかし、小さな子供は可愛いな」
「大公殿下がこんなに子供好きとは思いませんでした」
「俺もだ」
(まあ、大公殿下も60歳の爺さんだもんな)と思うトーマスだった。
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