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 日付が変わった頃、待ちきれなくなった僕は、部屋の外へ出た。  当然、まだ辺りは暗く、なにも見えない。  部屋へ戻ろうかと思ったが、意を決し、闇に向かって進み始めた。  しばらく慎重に歩いていると、なにか大きな物が目の前にあった。  表面の質感から、それが木であるとわかった。  僕は木に寄りかかり、休憩することにした。  朝日が待ち遠しい。  虫の鳴き声が聞こえた。  目を閉じて、じっとする。  気が付くと、辺りがほんのりと明るくなっていた。  太陽の光が温かい。  夢に見た外の世界が、鮮明になっていく。  じわじわと感動が湧いてきて、体が震えた。  感極まり、僕は涙を流した。  これが、外の世界……。  これから何処へ行こう?  どこだっていい。  きっと、どこへ行ったって、楽しめる。  僕は空を見上げた。  雲一つない青空だった。  僕は木から手を離すと、大空へと羽ばたいた。  ミーン、ミーンと鳴きながら。  【完】
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