茉里サイド

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ふて寝から目覚めると、近くに転がっていた携帯を確認する。案の定、武史から「次会えるとしたら来週になる」と連絡が来ていた。 ムカつく。ムカつく。ムカつく。 確かに、何かが変な武史。 いい男を何も言わずにお膳立てなど、する訳が無い。だからといって、訳アリの男を隠すして嵌めるような事は、武史は絶対しない。 起き上がってベットの縁に座り、机の上の名刺に手を伸ばす。 矢田 睦(やた あつし) 営業 リーダー 株式会社 ロゼッテオ 聞き慣れない会社名に眉を顰めて、ネットで検索をかける。医療系に特化した電子辞書の会社 という事が分かる。それから、名刺の端のQRを読み取ると、写真入りの社員紹介ページに飛び、アクセス1つでメール連絡が出来るようになっていた。 営業に適した、爽やかなイケメンが、歯を見せずに美しく口角を上げている写真で、なるほどと頷く。 あの武史がイケメンというだけの事はある。 でも、それだけ。顔を見ても見覚えなどなく、少しも思い出せない。 携帯をスリープさせると同時に、名刺を握りつぶした。 こいつが絶対、なんかしたんだ。忌々しい名刺は、ゴミ箱へ投げつける。 ムカつく。 何がムカつくって、武史が私が気づかないと思ってる事がだ。 あいつは今、絶対に傷ついている。
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