時は流れて

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時は流れて

 その日から、ふたりはそれぞれ学校帰り、仕事帰りにわたげ集めにいそしみました。花の少ないこの町では骨の折れることでしたが、春の終わりにはおみごと、プランター一面がわたげで埋まりました。 「リオンの地道な活動のたまものだね」 「ダンさんも集めてくれた。ありがとう」 「今、ふーってしなくて、本当にいいの?」 「ええ、来年がいいの」  首を傾げるダンさんを尻目に、リオンはいつものまじめな顔で、じょうろではなくコップでプランターに水を注ぎました。  その時です。 「けなげなもんじゃないか、ダンさん。この小さいお人、リオンはな、自分はわたげが好きだけど、あんたはたんぽぽのほうが好きだと知っているんだ。だから来年の春まで待って、たんぽぽ畑を見せてやりたいのさ」
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