魔法使いあまね

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 最後まで書いて、あまねちゃんは、「ほぅ」とため息をつきました。なんだか、本当に魔法使いになれる気がしたのです。大好きなおばあちゃんに近づけたようで、あまねちゃんはうれしくなりました。  次の日、あまねちゃんの作文は、教室の後ろに飾られました。先生が、たくさんの花丸をつけてくれました。 「すごいね!花丸たくさんだね!」  ミキちゃんが、びっくりしながら言いました。あまねちゃんは、とってもうれしくなりました。自分だけでなく、大好きなおばあちゃんがほめられたような、くすぐったい気持ちでした。 「おまえ、ばかなんじゃねぇの?」  お昼休みに、トシキくんがやってきて、いきなり言いました。 「魔法使いになんて、なれるわけねぇじゃん。ばーか!」  あまねちゃんは、びっくりしました。黙っていると、トシキくんはいじわるな顔で続けて言いました。 「ばあちゃんが魔法を使えるとか、ウソなんだろ。そんなん書いて褒められたからって、いい気になるなよ!うそつきあまね!」 「ウソじゃないよ」  本当は泣きたい気持ちでしたが、あまねちゃんは、一生懸命ガマンしました。
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