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天井から垂れ下がる鍾乳洞。
その合間に巣を張る巨大なクモ。
天井に張り付くコウモリたち……
そんな洞窟の中を進む、ひとりの少年がいた。
手にもつランプの光を反射して淡く光るプラチナブロンドの髪。
目尻がこころもちあがった凛々しい目元。
右目が青、左目が金色のオッドアイ。
丸顔ながらかりっとした顎。
整った輪郭。
すらりとした鼻梁に引き締まった口元。
**
少年はぬめぬめとした地面にすべらないように、踏みしめるように前に進む。
小走りにかけながらも、右に左にとしきりに首を振っている。
「ニャロッペー!! ニャロッペー!! どこにいるの!? わっ!!」
少年はうっかりと、ブーツのつまさきを水たまりに踏み入れた。
跳ね返ってきた水しぶきに驚いて思わず声を上げる。
**
少年が水しぶきをマントで拭っていると、いつのまにか無数の黒い人影が少年を取り囲んでいた。
「ハッ!? 魔王の配下ども!?」
少年が長いまつげに取り囲まれたブルーとゴールドの瞳を見開くとともに、がらがらとした男たちの声が、一斉にボリュームを増す。
「死ね!」
「ギャーッ!」
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