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『ねぇるいるい、お友達がぁこっち見てるよ〜?行ってきたらどぉ?』
「鈴!ゆずか!」
黄色い悲鳴が飛び交う中毬藻くんの声がよく通る。
『すごーい』
「?何か言ったか?」
『なんでもないよぉ?ほらほらぁ、るいるい、行ってきなよ』
めっちゃ見てる見てる。大丈夫だよ、俺は毬藻くんに手を出さないし、俺は童貞だもの
「…」
『るいるーい?』
「ま、円も行こうぜ!」
『…いいy、…へ?』
聞き返す間も無く手を引かれ、人混みを貫通していく。
黄色い悲鳴はきたなぁい悲鳴に変化する
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!何会計様にさわってんのよぉぉぉぉーー!!!」
おきゃまかな?
「手が…会計様の手が腐敗しちゃうじゃなぁぁい!!」
毬藻くんは微生物か何かかにゃ?
それらの悲鳴を聞く毬藻くんの取り巻きくんたち、いわゆる爽やかくんと狼くん。彼らは声を出す本人らでは無く、彼らが好いてやまない俺に敵意を向ける。
んー、俺別に何も思ってないんだけどなぁ
「鈴、ゆずか!遅れて悪い!!」
「うん、大丈夫だよ」
「…ジッ」
『ご、ごめんねぇ。る、るいるーい?そ、そろそろ手離してくれる〜?(じゃないと命の危機が…)』
「あ、まだ…じゃなくて///わ、悪かった!」
『聞こえてるから大丈夫だよぉ』
「聖川先輩はるいと何してたんですか?」
にこりと笑っているが爽やかくんからは圧を感じる。そして無言で睨んでくる狼くんからは敵意どころか殺意まで感じる。
『え、とねぇ。るいるいと会ったから一緒に来ただけだよぉ?』
「手、出そうとか考えてませんよね?」
『なんでそんなこと聞くのぉ?まぁでもそんなことしたら俺がみっちゃん…副会長におこられちゃうよぉ。あ、でもそんなこと聞いてくるってことは爽やかくんはるいるいのこと好きなのぉ?』
「別に、友人としてですけど(爽やかくん?)」
『そぉ?狼くんはぁ?」
「え、俺…?」
『?』
「俺もだ、コイツには…るいには助けられた、から」
『るいるいはヒーローだねぇ』
くるっと振り向き毬藻くんを見る
「随分と楽しそうですね、円?」
『み、みっちゃぁん』
「私抜きで円とご飯に行こうなんて言語道断ですよ。」
『ご、ごめんね、みっちゃん!るいるいが誘ってくれたからぁ』
び、びっくりしたぁぁ
でも副会長…前までこんなんじゃなかった。俺は今の副会長と話すのは下手くそだ。前の副会長とはうまくコミュニケーション取れたのに。普通はできるはず。毬藻くんができてるんだから。他のみんなも。俺だけできてない
俺だけまだ…普通じゃない
普通、普通、普通
コミュニケーションの取れない俺はここではやっていけない
生徒会会計として普通に普通を装わなきゃ。まだ普通じゃないのだから普通になるまで普通のふりをしないと、普通にならないと
普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通普通ふつうふつうふつうふつうふつうふつうふつうふつうふつうふつうふつうフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウフツウ
『ひゅっ…』
息するの忘れて…??
目の前が白くなる
足ももたついて…
副会長の方を見ると副会長と話していた毬藻くんが気づいて手を伸ばす…間に合わないね…ごめ…
ボフッ
「ま、…まど、か……、!!」
陽…
『あき、ちゃ』
とても暖かい
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