1.始まりは

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「じゃあ、ここでするから、椅子おいて、譜面台組み立てて」 「え、どうやって組み立てるん」 「あ〜……じゃあ、一緒にやるか」 私は、戸山と一緒に譜面台を組み立てる。 そして、運指表と私のチューナーを戸山の譜面台に置いた。 戸山は、チューナーを興味津々に見つめる。 「何これ」 「これは、音の高さ合わせるやつ。高いとか低いとかわかる」 「へー」 私は、自分の楽器を組み立てて、戸山にも説明する。 「これ、まず出して」 私は、戸山に頭部管(楽器を吹くところ)をもたせる。 「鉛筆みたいな持ち方で持って穴塞いだほうがやりやすいかも」 彼は、頭部管を持った。 「で、下唇に当てる」 この角度が一番難しい。どうやって教えようか……。 でも、私が教えて音が出なかったってなったら面倒くさいから、丁寧に教えよう。 「下唇の真ん中とこの穴の真ん中を合わせて、角度は地面と平行よりちょっと自分の方に傾けるくらいの感じ」 「うん」 戸山は、私の言ったとおりに吹くと……ピーという音が鳴った。 え……。なんで……!? 「すごい」 「うん」
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