変顔

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「奴の本性は奴であれ気づいていない。」 「奴は確実に地に堕ちる。」と。まるで狂気掛かったようである。これは彼が接するに値しないと決め、距離を置かれた。言わば、捨てられたのである。これこそが彼である。彼は、本当に自らの為になる者かと常に慎重に判断し、自らに不要なものはどんどん切り捨て、「自分」という存在を洗練させていた。無駄なものが一切ないのだが、むしろ、彼は必要なものですら削ぎ落としているのかもしれない。  そんな中、彼は会社での功績を認められ、彼の属する企業とは格上である海外の企業との対談相手に選ばれた。ここで、海外企業の持つ、最先端技術の力を利用したアプリケーションの制作に励んでいる彼の企業は、その海外企業との共同制作としてアプリケーションを開発しようとしている為、彼の対談でその共同制作の取り引きを成立させたかったのである。
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