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先程、彼は人が少ないからと、本が好きだから此処へ来ていると説明したが、実の所、彼はそんな理由ではない。その理由とは彼の家庭環境にある。
彼の家庭は、一応両親いるものの、父は家庭を放棄し母に手を出し、酒に溺れている。母はというと、父の癇癪に振り回されている。では何もできないのかというと、母は彼の為、彼の大学受験を成功させるため、一応両親の方が良いのではと考えているため一向に離婚をしないのだ。だが彼自身、大学に無理をしてでも受験をする気はない。
つまり、彼の為ではない彼の為を母親は強制しているのである。そのため、父親よりタチが悪いのは言うまでもない。戸籍上などの表面では普通だが、その奥にはこのような家庭環境が繰り広げてあるだなんて、誰も想像できない。そして彼はその事を誰にも話していない。
彼自身、自らの家庭環境に対して想像以上に苦痛や羞恥心を感じている。そして、そんな家には居たくない彼は常に図書館に来続けるのだ。だが、そんな事実は誰も知らない。いや、知られたくないのだ。
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