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彼は、この取り引きこそが自らの企業の正に天下分け目であるとすら考えていた。その為、対談を行うかまだ決まっていない状態から作業に取り掛かっていた。彼は自らの企業から一般業務をしなくて良いとされていた。なんなら、自宅の方が仕事がしやすいのであれば自宅業務も許可された。これは彼に於ける会社の信頼そのものである。その為、彼は定期的に自らの考えている話す内容を会社にデータと共に送っていた。彼のデータはものすごく緻密でさらに的確な英語を使い、その共同制作に於ける自らの企業と相手企業の利益を計算したもの、相手企業にしかできぬ事と、自らの企業にしかできぬ事を説明し、如何に自らの企業でなければこのアプリケーションは作れないと説明、更にと挙げれば限りがなかった。だが、内容が頭に瞬時に入るよう設計され洗練、簡潔に作られていた。
そして対談当日、彼はネクタイを締め、アイロンをかけてあるこの日のために買った一流のスーツを着て、対談へ臨んだ。
だが、ここへ着いて気づいてしまった。彼は資料や話す内容を書き留めた紙を家に置いてきてしまったのである。
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