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こんな性格の俺だから、誰かと生活を共にするなど考えもしなかった。だがこの三人なら苦を感じることがない。それはきっと、みんながありのままの俺を受け入れてくれるからだろう。つまりは無職でいるのに対しても、誰も軽蔑の目で見ることがないのだ。
「私もそろそろ出るね~。バイト頑張って。」
授業があるのか、しばらくして富子も準備を終え大荷物を抱えて家を出た。いってら、と送り出した俺はついに一人になる。
誰もいないこの家はとても広く感じられる。
クリーム色の木調フローリングで暖かみのある内装。
梨華の好みでその辺に飾られる人工の観賞用植物。
掃き出し窓から部屋全体を照らす日の光。
その先に見える緑の世界。
田舎者の俺にとって、このような場所は落ち着ける。このままずっとここにいられればいいのにと思う程に。
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