鈴木和輝

7/9

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 こんな性格の俺だから、誰かと生活を共にするなど考えもしなかった。だがこの三人なら苦を感じることがない。それはきっと、みんながありのままの俺を受け入れてくれるからだろう。つまりは無職でいるのに対しても、誰も軽蔑の目で見ることがないのだ。    「私もそろそろ出るね~。バイト頑張って。」  授業があるのか、しばらくして富子(ふうこ)も準備を終え大荷物を抱えて家を出た。いってら、と送り出した俺はついに一人になる。  誰もいないこの家はとても広く感じられる。  クリーム色の木調フローリングで暖かみのある内装。  梨華の好みでその辺に飾られる人工の観賞用植物。  掃き出し窓から部屋全体を照らす日の光。  その先に見える緑の世界。  田舎者の俺にとって、このような場所は落ち着ける。このままずっとここにいられればいいのにと思う程に。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加