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《街民:ユア》
最後に真っ青な快晴を見たのはいつだろう。
『魔王』が世界に君臨してからだから―――約三年か。
昼と夜の判別もつかぬほど立ち込める曇天を見上げて、私は溜息を吐いた。
今のところ奇跡的にこの街には被害がないが、いつ何が起こるのかわからないのが現状だ。
死は覚悟しているつもりだが、矢張り心の何処かに生への欲があるのだろう。
今に死んで仕舞うかもしれないと考えるとまんじりとも出来ない。
ああ、平和な世界が早く帰ってきて欲しい。
王様が派遣した勇者様が『魔王』を討伐して下さる時を待つしかないのだろうか。
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