3人が本棚に入れています
本棚に追加
「この状況で謝るなんて、俺を煽るだけだ。」
何よりも大切に思っているというのに、自分だけが壊してしまえるという矛盾に、酔いしれてしまいそうになりながら、未来のしなやかな細い腕に、乱れた髪に、緊張した肩に、浴びせるようなキスをする。
「悪いと思っているなら、そのまま…。」
青島のもっともらしい要求を受け入れるように、壁に体を預けた未来の背中を、青島の指が這い、唇がその後を追う。
そして大きく開かれた生暖かい両手が、未来の胸を荒々しく掴むと、未来は抑えきれずに声を漏らした。
「我慢してる姿も、耐えきれずに漏れてしまう声も、全部が愛おしいよ。」
青島がそう言ってスカートの裾に触れると、未来はたまらず振り向こうとして、青島に阻まれた。
「宏さん、お願い。これ以上は、シャワーの後にして。」
「嫌なのか?」
「だって1日外にいて…。」
「大丈夫、綺麗だよ。とにかく今はもう欲しい。もうずっと欲しい。」
青島の低い声はいつもより甘く響いて、求められる悦びに戸惑いながら、未来は諦めたように力を抜いた。
「あまり、見ないで下さい。」
組み敷かれた未来の俯きがちな横顔に、青島は堪らず身震いして、未来の腰を両手で掴むと自分の方に寄せて突き出すようにしてから、スカートを捲り上げた。
そしてサンダルの華奢なヒールに、緊張したふくらはぎが微かに震えているのを目にした瞬間、青島は理性を失った。
突き動かされるがまま抱いて、何度も名前を呼び、揺れる後ろ髪を見ながら、求めるだけでは飽き足らず応えて欲しいと乞う。
そして最後に一度だけ、未来が青島の名前を呼んで崩れ落ちそうになったのを許さずに、必死に繋ぎ止めた。
「ごめん。」
脱力感に満たされて、我に返った青島は、未来を抱き上げると、薄暗い部屋を奥へと進み、ベッドに寝かせた。
そして散らばる服や荷物を拾い上げてから、身じろぎもしない未来の隣で横になり、そっと抱きしめた。
「宏さんって、場所が変わると人も変わる…。」
驚いた青島が腕の中にいる未来を見ると、責めるような上目遣いと目が合って、抱きしめる腕に力が入った。
「やばいな。」
青島は呟いてから、少しの間、未来の髪を撫で続けた。
「俺が変わるのだとしたら、それによって変わるお前が見たいからだよ。」
「さっきみたいに大人げなく無我夢中になってしまうなんて、自分でも驚いているって言うのに、その相手がお前だなんて最高だ。」
青島の話を聞くうち、不意に涙が溢れてきて、未来は青島の胸に顔を押し付けた。
まさか泣いているとは思わず、そんな未来の様子を嬉しく感じた青島だったが、そのうち鼻をすする音が聞こえてきて、慌てて未来の顔を見た。
「どうした?やっぱり嫌だったのか?」
不安そうな青島に、未来は小さく首を振った。
「あんな風にされて恥ずかしいのに、求められるのが嬉しかったり、何だか混乱しちゃって。でも宏さんが嬉しそうだと、私も嬉しくて…。」
涙を拭って微笑む未来を、青島はまた抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!