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「未来。本当に可愛いな。そんなこと言われたら、もうすぐにでもしたくなる。」
青島は腕の中にいる未来を抱えるように、自分の体の上に乗せた。
「ダメです。それに二人の格好もおかしいです。」
未来は上が、青島は下が、裸のままだった。
「全部、脱ぐか?」
真面目に聞いてきた青島に、未来は呆れて笑った。
「どうしてそうなるんですか?先にシャワーしてきますね。」
そう言って体を起こそうとした未来を逃すまいと抱き上げた青島は、目の前の魅惑的な光景に、重力に感謝したい気持ちで、未来の胸を口に含んだ。
やっ、と未来が小さく声を上げると、青島はその中心を舌で転がすように弄び、徐々に固くなっていくのを感じて、再び気持ちが昂ってきたのだが、突然、頬を両手で挟まれるように軽く叩かれて、あえなく撃沈した。
「本当にダメです。じゃなきゃベッドは別々ですよ。」
なんと言われようが一緒のベッドに入れば済むことだが、未来の視線が隣のベッドに向いているのを見て、青島は両手を顔の横に上げて降参して見せた。
「分かった分かった。」
未来は笑ってベットを降りると、背中を向けているのにもかかわらず、胸の前で腕を組んでリビングの向こうへと消えた。
青島は頭の後ろで腕を組むと、斜めになった天井に目をやった。
あれから未来と長い時間を過ごすのは初めてで、もっと落ち込んでいると思ったのだが、普段と変わらない様子に多少、拍子抜けしていた。
もちろん青島としてはそれが望ましいのだが、仕事に穴を開けてしまった責任を、必要以上に感じてしまうのが、本来の未来の姿のような気がして、どうしても勘繰ってしまう。
身支度を整えた二人は、少し待たせてしまったスタッフに謝りながら、カートで本館のレストランに向かった。
「今日は食事をしながら、ゆっくりワインでも飲まないか?」
前回は食事も仕事のひとつだったので、『ご飯』を楽しむことが目的だったのだが、この夜のために青島が予約していたのはフランス料理のフルコースだった。
「今日は宏さんと一緒だし、私も飲みたいです。」
青島は控えていたウェイターに、料理に合わせてワインを選んでくれるよう頼むと、グラスでも銘柄が変えられるのなら、未来には飲みやすい物を用意して欲しいと伝えた。
ウェイターは快く応じてくれて、手始めに食前酒のロゼのスパークリングワインで乾杯した。
「料理に合わせて、いろいろなワインを飲んだのは初めてです。正確には美味しく飲めたのは、かな。
とても飲みやすかった。」
にこにこと話す未来は、それでもほんのり赤くなっていた。
美味しい料理と美味しいワインは、それだけで贅沢で楽しい時間を作ってくれる。
食事を終えた二人は、手をつないでゆっくりと歩いて部屋へ戻った。
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