のんちゃんの手

コロナと向き合う小さなこころ

　無邪気に微笑みよちよち歩く姿の自らにひかれるように、ようやく一枚の写真を選び終えた時、隣にちょこんと座る妹は再び声を荒げた。

　「にぃにぃ、のんちゃんよりも大きいさんなのに手を握っているよ。人の手は触っちゃダメだよ。先生が言っていたよ」

　妹が手にしたページに写るのは、四年生の林間学校。キャンプファイヤーを囲み男女が手を組み踊るマイムマイム。僕が初めて好きになった女の子と踊る姿に恥ずかしさが込みあがる。

　「にぃにぃ、人の手を握っちゃダメだよ」

　繰返し告げる妹の忠告に何処か寂しさを感じながら僕は答えた。