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しばらく歩いていると、大きな交差点が見えてきた。
二人はピタリと足を止めて、座りこむ。
よく見てみれば、色んな花束や可愛いヌイグルミが置かれてあった。
もしかして、ここが紘の大好きだった彼女が轢かれた場所?
二人は手を合わせて目を瞑っている。
時間は短いはずなのに、あたしにとっては長く感じた。
ふいに、綺麗な女性(ひと)が紘に抱きついた。
慰めようと、紘も女性の背中へ手を伸ばした時、何かの気配に気がついた紘が顔をあげて驚いたようにあたしを見た。
「ご、ごめんなさい。あたし、お邪魔虫だよね。二人の邪魔をして本当に………」
続きが言いたいのに、ポロポロと涙が零れていく。
「結愛、これは違うんだ!! 」
初めて聞く狼狽えるような固い声。
「紘。あたし疲れちゃった、別れよ? 」
涙で視界が見えない。
くるりと身体の向きを変えて、あたしは走り出した。
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