僕の初恋は、気づいた瞬間から終わっていた【短編小説】

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僕が中学1年生の頃。 クラスの中心にいるような、明るい女の子がいた。 その子は、誰にでも平等に接していた。 誰にでも明るく、優しかった。 まだ、クラスに馴染めていなかった僕は、唯一話せる友達だった。 「先週の土曜日にね、テレビ見てたら、綺麗な流星群が流れてるシーンを見たの。私、流星群とか見たことないんだよね〜。キミは?見た事ある?」 彼女は、にこにこと惜しみなくキラキラした笑顔を僕に見せてくれる。 「僕は、小学1年生の時に1回見たことある」 「え!いいな〜。どこで見たの?」 「あそこの山」 僕は、教室の窓からはるか遠くにある山を指さした。 「え、遠いね!!でも、流星群見たいな〜」 彼女は表情の移り変わりが早い。 さっきまでにこにこ笑っていたのに、今度は残念そうに肩を落とす。 「じゃあ、僕が連れて行ってあげるよ」 僕は、うっすらと覚えているあの流星群の光景を思い出す。 「え!ホント?」 彼女は、僕を見て、満面の笑みを浮かべる。 「うん。あの近くに釣りできるところがあるから、お父さんも行きたがると思うし、そのときに一緒に僕の車で流星群見に行こ」
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