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その言葉には、優しさが滲み出ていた。流石は彼女の妹さんだ。スマホでマップが見れるとはいえ、案内してくれる人がいると心強い。
「お店のほう、大丈夫?」
「はい! 大丈夫です」
バイトに来た女の子達も、この子のように初々しくて可愛らしい子ばかりだった。また、あの子達も今も、過酷な労働に耐えながら働いていると思うと、胸が痛む。
砂浜のほうを見ると、ご近所の人と思われる人が犬を連れて散歩をしている。
「私も就職出来ず、東京から戻って来たんです」
「えっ」
突然の妹さんの告白に、目を瞠る。白い波がザ一ッと音を鳴らした。心の悲鳴のように聞こえた。一度目を伏せ唇を結ぶ。さっきまでの明るい笑顔とは一変した。
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