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少し洒落た外観に、似合わない名前だなんて考えつつも、食堂のドアノブを持つ。ガラスのドアには、自分の顔が映った。ショートカットに近いおかっぱ頭に、二重の少し大きめな瞳。きりっと正しい輪郭をしていた。顔立ちはどこか古風だと自分で思う。自分の顔を確認したあと、ドアノブを引いた。
「おかえり、雪乃」
中に入った途端、出迎えてくれたのは、私の姉の川井七海。黒いセミロングヘアで、屈託ない優しい微笑みが、私の視界にすぐに入った。黒の業務用のコ-ヒーメーカーから、静かに音が響いている。コーヒーの苦みと優しさが交わった香りが、とても心地良い。内装は、水色で海の色に合わせたのだろう。ペンキの匂いが鼻についた。木のテーブルが、十五ほど。カウンター席も十席ほどある。カウンタ一の椅子の前は、独立したオ一プンキッチンになっていた。調理人の腰の高さくらいまで、客側から見える。
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