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「えっ!」
姉は私以上に、素っ頓狂な声を出した。
「どうしたんやろ。何かあったんかな」
姉は食器を洗うのを停め、手を洗ってから慌てて下へ降りて行く。ここは私が入っていかないほうが良いだろう。私は階段を降り、裏から回って外へ出て、店の前の掃き掃除を続ける。掃除をしながら、姉と美代さんの会話が気になった。いつもは心地良い波の音が、胸の中のざわめきの音に聞こえるから、複雑だった。チラリと、窓ガラスの向こうにいる、二人を店の外から垣間見る。
(あれ、お互い笑ってる?)
二人とも嬉しそうに微笑み、手を取り合ったりしていた。一体、どうなっているのだろう。理由も分からず、掃き掃除の続きをやきもきしながら続けることにした。
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