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♯10 マリアside
あの日、親友のレイラから電話があった。
事もあろうに、夫のノアが飲みの席で口説いてきたらしい。
確かにレイラは夫のノアのお気に入りのタイプだ。色白で、可愛らしく少しぽっちゃりしている。
フワフワして、目を見張るほどオッパイが大きい。
彼は、レイラみたいなのがタイプのようだ。
そう言えば、今夜は後輩と飲みに行くと言っていた。
最近は彼とも倦怠期だ。新婚当初は毎晩、求めてきたのに。
近頃は疲れたとか言って、まったく構ってくれない。
釣った魚にはエサをあげないつもりなのか。
ノアと離婚する選択肢もあった。
しかしなにか釈然としない。
そんな時、不注意にも軽い接触事故を起こしてしまった。
頭にケガを負ったが、幸い重症ではない。
そこで考えたのが、映画で観た記憶喪失だ。
夫のノアも後ろめたさがあったのか。
私の演技に騙され、今では新婚当時に戻ったようにアツアツだ。
なにしろノアは資産家の御曹司だ。
しかも私好みのイケメンなので、おいそれと別れるつもりはない。
すべからず、女性は女優なので、くれぐれも殿方はお気をつけあそばせ。
つづく……
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