6人が本棚に入れています
本棚に追加
♯3 大和ノアside
あの夜……。
ボクが帰宅すると、すぐに電話があった。
「ハイ、もしもし……」
またマリアからだろうか。もう家に着いたと言うのに。
しかし家にはマリアの姿はなかった。
おかしいな。
『もしもし、大和ノアさんでしょうか』
電話のスピーカーから聞いたことのない男性の声が流れた。
「ええ、そうですけど……、どなたでしょうか?!」
ボクは訝しげに相手の名前を伺った。
テーブルには、ちゃんと夕食の支度がしてある。マリアはどこかへ出掛けたのだろうか。
『こちらは湘南警察ですが、ただ今、奥様が事故に遭われまして……』
「えェ?! マリアが事故にィ……」
どう言うコトだ。
『そうです。マリアさんは、湘南中央病院へ搬送されました!!』
「うゥ……、湘南中央病院ですね。
わかりました。すぐに行きます!!」
取り敢えず、ボクはマリアの保険証を探し出し、湘南中央病院へ向かった。
なんてことだろう。
浮気をしようとしたその夜に、妻のマリアが事故に遭うなんて。
悪いことは出来ないものだ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
最初のコメントを投稿しよう!