6人が本棚に入れています
本棚に追加
♯4 大和ノアside
ボクは、急いで湘南病院へ向かった。
気づくと時計の針は九時を回っている。
病室へ駆け込むと、すでに彼女はベッドへ寝かされ頭には痛々しく包帯が巻かれていた。
「あ、どうも……、ボクは彼女の夫の大和 ノアです!!」
病室にいる看護師らにまくし立てるように挨拶をした。
「あァ……、ご主人ですか!!」
看護師のひとりが少し戸惑い気味に苦笑いを浮かべた。
「あッあのォ……」容態を訊こうとしたが、マリアはキョトンとした顔でボクを見つめていた。
「ンゥ……?!」
なんとなく様子がおかしい。ザワザワと不吉な予感がした。
「ご主人ですよ。マリアさん!!
わかりますか!!」
近くにいた看護師がマリアへ促すように声をかけた。
「え、どなたですか……?!」
だがマリアは、まるで初対面のようにボクの顔を見て尋ねた。
「どなたですかッて、なにを言ってるんだ!! ボクだよ。ノアだよ!!」
悪いジョークだろう。
「ンゥ、ノア……?!」マリアは首を捻り眉をひそめた。
「うゥ……」ボクは小さく呻くばかりだ。
なにかの間違いじゃないのか。
まさか、そんなはずはない。
これじゃァ、まるで……。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
最初のコメントを投稿しよう!