♯6 優しく抱きしめ

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♯6 優しく抱きしめ

 記憶喪失など、どこかのドラマか漫画の出来事だと思っていた。  担当医師の説明では、一日経つと記憶がリセットすると言う。      ようやく退院の許可がおりたものの帰宅したマリアは、どこか緊張した面持ちだ。 「マリア!! ここは自分の家なんだから、よそよそしくするなよ!!」  優しく背中を押して促した。 「ふぅン、ここが私の家なのォ……」  キョロキョロと室内を見回した。まだ緊張感が(ぬぐ)えない。 「ああ、そうだよ。さァ、こっちが寝室だ」  ドアを開け、中を案内した。  彼女が入院している間、少しだけ掃除をしておいた。   「えェ……、寝室?!」  珍しそうにベッドを見ている。 「フフ、おいで、先生からも激しいスポーツは控えてッて言われたけど……。  適度な《運動》は、むしろ良いッて、さァ!!」  ボクは背後から優しくマリアを抱きしめ、遠慮なくお姫様だっこをした。 「キャァ……ッ」 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
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