♯9 マリアside

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♯9 マリアside

 《マリアsite》……。  あの事故から三週間が過ぎた。  久しぶりに友人とともにドライブへ出掛けることになった。  車内にはセクゾの『夏のハイドレンジア』が流れている。友人のお気に入りの曲だという。  メロディアスで素敵な楽曲だ。   「ねえェ、気分が悪くなったら言ってよ!!  マリア!!」  友人が声を掛けてきた。彼女の運転でドライブだ。私を気づかって安全運転を心がけている。 「ありがとう。平気よ。なんともないんだから!!」  何気なく私は、外の景色を見つめた。 「マジでェ……」 「ええッ、男なんて、いつまで経っても厨二病が治らないのねェ……」  私は、愉しそうに微笑んだ。 「厨二病……」 「そう!! やっぱ男ッて、なんだかんだ言っても、バージンが好きなのよ」 「フフ、ノア君も?!」 「そうそう、結婚して三年も経つと倦怠期じゃン。まさかレイラと浮気しようなんて」 「だから、記憶喪失の()りをしたの?!」  友人の和泉レイラは運転しながら私に微笑んだ。 「そ、バージンだと喜んじゃって!!  いつまで経っても厨二病なんだから!!  彼も……」   「まァねえェ……!! やっぱノア君もレイラの手の平で(もてあそば)れているのね」   「フッフフ」  私は、曖昧に微笑み、青く澄んだ空を見上げた。  かすかにセミの声が聞こえてくる。 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
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