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酔って無防備な伊坂をベッドに寝かした。スーツは脱がして、俺のスウェットを着させる。
胸に耳を当てた。生きている。
頭の中に、声が響いた。
「この者が事故から救ったのは、地上に降りたいたずらな神の使いでした。まだこの者は死ぬ運命ではなかったのです。
軌道を変えるために、この者に執着する魂の力を借りて、何度か修正を繰り返しました。あなたなら、何度でもこの者を救おうとする。自分が死ぬ瞬間の記憶は、この者からは消していました。
これでしばらくの間は命を失わない軌道に戻せました。
これからはあなたにこの者を託します」
小さな声で「ごめんなさい」と言っているのも聞こえる。
目が覚めたら俺の部屋にいて、伊坂は驚くだろうな。
伊坂が死ぬなんて最悪な経験だが、お陰で急速に伊坂との距離は縮まった。
もしもこのループで伊坂を救えなくても、俺は何度でも伊坂の命を救おうとするだろう。
伊坂と番になりたい。
伊坂を抱きしめると、伊坂の香りに包まれる。
ようやく深い眠りにつける。
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