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「なんだその言い方」
妹を説教しながら、しかしだいたいがこの犬の存在がまだはっきりしていないじゃないか、という思いが頭を駆け巡る。ちらりと犬を見ると大きな肉を頬張っている。鍋を見るともう肉の影がない。おい、みんな食いやがったな。
「せこいこと言わないでよ」
「何が」
「いいじゃない、お肉食べたって」
「俺がなんか言ったか」
「言ったじゃない、みんな食いやがってって意地汚い」
すでにゆたかは声に出てることと頭の中で考えていることの区別がつかなくなっていた。
「ああもううるさい、だまれ」
「ふん、最後はいつもそれ」
妹はそれきりゆたかを徹底的に無視していた。
ゆたかは何を怒鳴って何を思っているのか分からないまま、酩酊の中に落ちていった。犬がつみれを頬張っているのを最後に見た。
だから一体こいつは誰だ。
次の日はひどい二日酔いだった。
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