壱拾弐頼 魏石鬼と悪路王

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 【温羅】は蹈鞴を踏みながら後退し、刀太は勢いに逆らうことなく後方へと飛んだ。  両者ダメージはない。  が、力の差は歴然としている。 「荊嬢、逃げなさい」 「だな。援軍を呼んできてくれや」  ニッと笑いながら二人は言う。  残骸から顔を出しながら、彼女はその表情を見た。  明るい顔だった。  何かを覚悟した表情……そう読み取れる。  その先に待つモノは?  待つモノ?  ……  死? 「いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  そのときだった。  耳鳴りがした。  そして世界は暗転した。              ・
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