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俺、異世界に来たらしい
「あれ……ここ何処」
目を覚ますと俺は''外''に居た。え?何で?俺家にいたよね?え?
困惑しながら辺りを見渡したり頬をつねったりしてみたけど、どう考えても現実。凄くほっぺた痛いし。
長年伸ばした(放置された)髪の毛が、無駄に爽やかな風にふかれ揺れる。
「は?」
もう訳わからなくて、はぁ?としか言えない。
すると、突然目の前の壁に文字が浮かび上がった。
【汝、勇者也。弱き者を救い悪に染まりし者を葬るべし】
「はぁ?」
勇者?は?絶対人間違えだろ。
異世界転生したのか?は?引きニートに勇者なんて出来る訳ねぇだろ。こちとら何年人と話してねぇと思ってんだよ
【力を授けたり。聖なる剣を用いて悪を葬り去れ】
無駄にキンキラキンに光る剣が壁から出てきた。
試しに手に取ってみると驚く程軽い。スプーンと同じぐらいの軽さだ。
「力って、テンプレ通りならチートか…?」
試しに引きニートの必需品、ゲーム機を想像してみた。
「あ、出た。え、でもコンセントな………うわ、出た」
取り敢えず魔法使えるっぽい。
だけど、何処までチートなんだろ。まぁ、モノは試しか。
洞窟から出て山めがけて少し力を込めて火の玉を想像すると俺が想像してた10倍デカイ火の玉が木々を飲み込み山に風穴を開けた
「あ、これ完全チートコース。ふむ、チートか。ん?って事は俺の快適空間作れるんじゃね!?」
憧れに憧れた快適空間。
暑さも寒さにも対応してて、手が届くところに冷蔵庫がありいくら座ってても痛くない椅子!その他にも欲しい物は沢山ある。創造魔法が使えるなら…………今なら俺の快適夢のお部屋が叶う!?
「おっしっ!!やるか!!」
場所は…………なんか上に作ると面倒だから地下に作ろう。
テンプレなら体も強くなってる筈……
力をそんなに込めずに地面を殴れば地割れが起きた。
「あ、やべ。力加減覚えねぇと、歩く災害じゃん」
それから俺は地下に潜りせっせと快適空間作りに勤しんだ。
それから1年後。
「ふぅ……風呂上がりのコーヒー牛乳うまぁ」
パンイチで腰に手を当てて一気飲み。
ゴミはこの前適当にいじったら出来たミニブラックホールみたいなのに入れた。
「あ、そうだ。この世界ギルドあるんだっけ」
生活が落ち着き余裕が出てくると、暇になってくる。
力制御やコントロールは快適空間を作り終わってからやり終えたし、初っ端からlevel100みたいなもんだしなぁ。
「せっかくならトロコンしたいよなぁ」
知識も考えればウィンドウみたいなので出てくるし、実際生きてく上で困らん。
俺のステータスも出てきたから見てみたけど、何か……うん、チートだったよ。
名前▽田中美嘉
年齢▽8(31)
種族▽t@pdma
属性▽tapmwa
魔力▽'pmat.ga
称号▽愛し子、聖なる勇者、神に愛されし者、不死者、堕落王
種族とかは文字化けして何て書いてあるか分からなかったが、年齢のかっこの部分は前の俺の年齢だ。
今は何故か赤髪青目のショタだ。因みに堕落王は、グダグダしてたら何かついた。
「よしっ!ギルドに行こうっ!」
俺は図鑑なんかはコンプリートしたいタチである。
ギルドでたまに依頼受けてコンプリート目指して生きようかな。人混みは嫌いだからさびれたギルドがいいなぁ。
[此方がヒットしました]
頭の中に声が響くと共に目の前にウィンドウが現れマップの様なモノが表示される。
ありがたい事に写真付きだ。あぁ、山奥か。それなら街よりはマシか
寝間着から動きやすい服装に着替えて帽子を被って目の色を茶色に変える。
いやぁ、なんか青い目ってこの世界じゃレアらしい。
神子の証とか何とかって書いてあったから、コレは隠さなきゃ面倒な事になる、確実に。
「体も大きくしてっと、コレでいいだろ!」
大ざっぱにやったから今は大学生くらいかな。
「''転移''」
瞬きしてる間に景色が変わる。
山奥なのに活気に溢れていて、もう既にげんなりしてる。え、帰ろうかな。気持ち悪くなってきた。
いや、でもギルドって美味しい情報とかあるかもだし、チートに頼りきりでトロコンしても楽しくない。
吐きそうになりながら写真で見た建物を探した。
出来るだけ人通りの少ない道を歩き、どうにかギルドに着いた頃にはもう疲れ果てていたが中に入らずに帰ったら何ために来たのかわからない。
意を決して中に入ると受付の人らしきおっさんが書類整理してた。こういうのって女の人じゃないんだ。
「あ、あの…登録したいんですけど」
「それならこれ書きな」
紙とペンを渡され適当に嘘を書いてく
名前▽シン
年齢▽21
属性▽水、闇
魔力▽10万
あとは最後に同意にチェックしてっと。
この世界の平均魔力は丁度10万くらいだそうだ。
属性も2属性なら怪しまれないし、闇魔法も今はそう珍しくないらしい……チートWikiが言ってた。
因みにシンっていうのは前の俺のゲームネーム。
「まずは、Eからだ。Aまでは試験なしで上がっていくがAからSに上がるには試験がある。あー、後自分のランクより上のは受けれねぇから気を付けな」
「はーい」
ギルドカードを受け取ってボードの所に行くと結構Eランクの物があった。
取り敢えず採取系をごそっと取ってオッサンに渡した。
どうやら集めたら此処に持ってこれば終わりらしい。
受けた依頼のリストを貰ってギルドから出た。
小道に入って、まずは近くの森に転移する。
え?歩く?やだよ。人混み行きたくないし
「えーと、グン草、シャン草、ミツハグサ、Mr.Beの蜜とー、ボラング草か。」
草系はそこら辺に生えてる簡単なクエストだ。
大抵皆ランクを上げたがるし、報酬がいいのを選びがちみたいだからこういうのは結構残るみたいだ。ByチートWiki
草はすぐにこんもりと集まった。
俺特製図鑑も少し埋まって気分はウッキウキ。
因みに全部コレクションしたいから、他の図鑑も作ったわ。採取した物を本の上に置いて魔力を込めると自動でそのページに登録される。
因みに取り出しも出来るから纏めて入れとけば後でいつでも使える。
いや、空間魔法あったけどさ……整理しなきゃいけない感じで面倒そうだったんだよね
「あ、蜜ゲッチュ!よーし、クエスト終わりー」
さーて、帰ろっと思ったけど俺の探知魔法に未収穫のモノが引っかかった。
取りに行かないなんて選択肢がある筈もなくテクテクと歩いて向かう。
「キャーー!!誰か助けてぇ!!」
悲鳴が聞こえて木の上に登って様子を窺うと何か高そうなドレス着た女が明らかに盗賊みたいな風貌の奴等に襲われていた。
「うわぁ、こんなの本当にあるんだ」
小腹が空いたからポテチを食べながら眺めていると、どうやら盗賊は数で押す作戦らしく、どんどん騎士たちが倒れてく。
あーあ、こりゃあ性奴隷行きかぁ?助ける気なんて更々無いからそんな事を思いながらポケーっと眺めてた。
俺としてはサッサとそこから居なくなって欲しい。
アイツラが居る所に俺が欲しい物があるんだよね。
さっさと終わらねぇかなぁとボリボリポテチを食べながら眺めてると如何にも正義の味方そうな男が剣をもって現れた
「あぁ?アレ俺の持ってるやつと似てんなぁ」
最初に岩から出てきたあの剣に似てる物を持ち盗賊達と戦う男。
「あぁ、なんだ。レプリカか。絶対神様力渡す奴間違えたろ」
俺だったら絶対俺には渡さねぇもん。だって堕落王なんて名前がつくぐらいだぜ?まぁ、興味がある物出来たらメチャクチャ動くけどさ。
「………アイツ弱くね?」
段々盗賊に押され始めてる勇者(仮)
異世界召喚された男なのか、天然の勇者(仮)なのか知らんが、盗賊に負けてどうするよ
「ダル……あ、そっか。最初からこうすれば良かったか」
俺は自分に透明魔法をかけて気配を消しながら戦場へと降りた。カタカタと震える女の後ろにある花を根ごと取って本に登録する。
よし、俺の任務完了!帰ろう!!
転移を使い小道に出て、ギルドへと向かった。
中に入るとさっきのおっさんがいた
「い、依頼品収め、に来た」
予め作っておいたポーチから納品物を出す。
大丈夫、目さえ合わさなければ少しは普通に話せる。
コツは相手の鼻らへん見るんだよ!そうしとけば大抵の人は誤魔化せるからね
「コレが依頼金だ。持ってきな」
「………ありがとう。」
金が入った布袋を受け取って俺はホクホク気分で快適空間へと帰った。
「んぅー…今日は適度に動いたしよく寝れそう」
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