Strelitziaを抱きしめて

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▷  歩夢に見つけてもらうまで、望未は、ずっとひとりきりだった。  それでもいいと思っていた。きっと誰かが自分の声で勇気を出してくれていると、そう信じていた。  高校の制服のまま、駅前でギターを抱えて、懸命に歌った。暑い日も寒い日も、晴れの日も雨の日も、ひとりきりで、がむしゃらに歌った。  誰も望未の方など振り向きもしなかった。あの頃、望未は確かに、駅前の雑音だった。
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