Strelitziaを抱きしめて

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 突然、プツン、と音を立てたようにPCの画面が暗くなった。  緑色の灯りがフッと消えて、橙色の灯りがゆっくりと点滅していた。スリープ状態になった画面には、ぼんやりと望未の顔が映りこんでいた。 「歩夢……」  声を荒げた歩夢に向かって眉根を下げる望未は、今にも泣きだしそうだった。瞳に溜まった涙を零さないように、必死で目を見開いていた。  それを見やった歩夢は、はぁ、と小さく溜息を吐いた。自分を落ち着かせなければ、とそう思った。 「……苦しいんだ。俺たちの世界が誰にも認められていなかったら、と思うと不安でいっぱいになる」 「不安……」  コンテストに出す作品は、誰しもが今の自分の100%をかけている。だからこそ、煌めくのはほんの一握りだけで、誰にも見つけてもらえない作品だってそれこそ星のようにある。  そんな星たちは、ひっそりと宇宙に存在し続けるしかない。  “自分の作品には価値がない”  命を削って創り上げたものをそう否定されるようで、歩夢にはそれが苦しくて仕方がない。今や、コンテストに関係のない曲ですら、つくっているときに不安に駆られてしまう。
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